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「泥眼」③ 小説書きの練習中。

登場人物

主人公 私=小池絵里 35歳

元の夫=岡部浩明 絵里の元夫40歳

1/25日からスタート

『泥眼(仮)』前回のあらすじ

離婚して一年、元夫の浩明に自分のことを気に掛けて欲しいと思い、始めたブログは単なる日記になっている。

別れてから浩明の行動と女性関係が気になるようになり、ブログとFacebookのチェックは日課となっている。

昨日は出会い~離婚の話が出たところまでの回想シーン―

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二章 日常会話のように

「離婚したいと思っているんだ。帰ったら話し合おう」

と、それは普段のやりとりと同じように、LINEメッセージで届いた。

一年前の夜、書きかけの原稿に夢中になっていると、付き合いで遅くなると言っていた浩明から、「今から帰るよ」とメッセージ。

私も「はーい」というスタンプを返す。

次に送られてきたメッセージが、「離婚したい」となっていた。

最初は冗談かと思ったが、本当にその日から離婚に向けての話し合いが進んで行ったのだ。

 

これまでに友人や知人たちから聞いた話のなかで、結婚生活が十年、十五年、あるいはそれ以上もあったのに、離婚を考えていると聞いたことがある。

どちらかが浮気をしただとか、人間として信じられなくなるような大きな問題や喧嘩があったのかと聞くと、決定づけるような理由はない。

あるとすれば、「これからの人生も夫婦として、一緒に生きていかなければならない」。と考えたら、別れたいと思ったという。

原因は、事件や問題ではなく、一緒に生きていく理由がないのだ。浩明もそんな風に考えたのだろうか・・・・・・

 

私たち夫婦の離婚に向けての話はもめることも無く、淡々とすすんだ。

家はお互いに引っ越しをすることになり、彼は住み慣れた所から近い新富町へ越すことになった。

私は勝ちどき辺りの風が抜ける感じが好きだった。おそらく海が近いからだと思ったので、海風を感じることができる、横浜の関内に家を見つけた。

全てが決まってからお互いの両親や友人達に話をした。両親は怒り、友人達からは、離婚の理由がきっとあるはずだから、場合によっては慰謝料を請求した方がいいなどのアドバイスや、「離婚はしない」と少しは粘ってみたほうがいいなどとも言われた。

皆に言われて段々と苦しくなり、少し早まったかも知れないとも思ったが、話をこじらせることで彼と二度と会えないような気がしたのだ。

彼の希望通りに一度別れることで、また歩み寄れる日がくるのではないかと考えたし、それ以上に彼に本当の理由を聞くことが怖かったのだ。

突然のことで離婚する心の準備はまだできていない。いや、どんな理由を聞いても、おそらく理解もできないだろう。

ふと、人の死でも同じことが言えるのではないかと思う。

老衰などで死が予測できる別れと、事故や自殺などの突然死のような別れとでは、受ける苦しみの大きさが違うかも知れない。そんなことが浮かぶ。

 

引越先は、実家に帰るという選択もあったが、自由な暮らしの快適さを知ってしまうと、戻る気になれなかった。

浩明は朝食も食べないし、私が寝ていても構わない、すべての支度を自分で整え出掛ける。むしろ私の面倒までみてくれる。

仕事が終わってからも、勉強をしに行ったり、スポーツジムに行ったりしていて、勤勉で努力家とは、彼のためにある言葉だと思っていたぐらいだ。

だから私は、結婚したことで、自分の両親よりもうるさく言われない気楽さと、万一何かあったら助けてもらえるという保険を手に入れていたのだ。

こんな別れ方しかないのか、他に方法はないのかと悩みながら、引っ越しの準備をしていたある日に、浩明の着替えを目にした。そう言えば私は、一年近く彼の肌にまともに触れていなかったことに気づく。鍛えられて幅広くなっている胸やいくつかの盛り上がり、無駄な肉のないお腹は、知り合った頃から変わっていない。

私が彼であれば、自分の身体を女性に見せたいはずだと考えると、やはり離婚の理由は、別な女性が好きになったのではないかという思いでいっぱいになった。

そう言えば浩明には、これまで不特定多数に向けて私を紹介して貰ったことがない。

多くの浮気をする気がない人達は、FacebookなどのSNSで、自分の家族やパートナーを公開してしまっているように思う。

公開していない人達は、自分のパートナーや家族を披露することで、今後一人に限られてしまうことを意識的に避けているのではないかと思ったことがある。

浩明もその一人だったのかも知れないと、引っ越し間際で考えずにはいられなくなった。

続く――

 

今日のありがとう☆☆☆

広ちゃん、メグちゃん、今日は楽しかったです。ありがとう。

あとがき☆☆☆

今日は話し方教室に行って来たので、明日のblogはそれについて書くかも知れません。やっぱし、物語書くの時間が掛かってしまい、のんびり食事をして帰宅したら、blogアップが夜中の二時になってしまった。

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