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語り手について レポート
- CATEGORY お勉強系
- UPDATE : 2015.10.08
- LAST UPDATE : 2015.10.08
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今日は大学の課題でやった、提出済みのレポートを掲載します。
小説においての「語り手」とは、物語の展開を読者に伝えていく存在のことであり、その「語り手の種類」はいくつか存在していて、その機能にも違いがある。それらを明らかにしています。
一人称の利点は、語り手が自分の内面を深く語ることができるため、心理や思考を深く掘り下げて書きたいときには効果を発揮するので、回想や告白体の小説などには向いている。
具体的には、「私、ぼく、俺」などの呼称を使いながら語る小説のことである。
ミステリー要素のある作品などでは、自分の心理的描写を物語が進むに従ってより増幅させていくことが出来るために効果的であると言える。
また、描かれている人間の魅力や神秘性の増大に貢献することもある。
一方欠点では、限定された視点しか持っておらず、他人の感情や物語の出来事の真偽は語り手には知り得ないことであるから、語ることは出来ないし、自身の事は自分が一番分かっていない部分でもあり、描くには難しいところでもある。
例えば、一人の人間であっても複数のキャラクターを演じていることがあるし、仕事や家庭での自分、親しい友人や出会ったばかりの人に対しては、自分を使い分けている、そのすべてが自分であるから、小説を描くときは、自分を突き放して、ある一定のキャラクターを作り上げる必要がある。
三人称の中にさらに大きく二つに区別出来て、一つは三人称一元(単元)描写、もう一つは三人称多元(複数)描写の二種類である。
前者では三人称で呼称される一人の人物に焦点を合わせて語られ、「彼は、〇〇さんは」と言葉としては三人称であっても一人称と似ていて、機能的利点としても一人称とほぼ同様である。
欠点も語り手が寄り添っている人物が知り得ない情報は多くの場合、語り手も知り得ないことになるが、語り手が寄り添っている登場人物の誰かと、同一化しているわけでは無く、視点人物の視点を借りた語り手だということになる。
後者の三人称多元(複数)の利点では、焦点が複数の人数に及び、全てを知っているのが特徴で、特権的な神の視点を持った全知の語りと言われている。
この語り手は物語の外から登場人物の行動を語るだけで無く、どの人物の視点をとることも可能であることが、神の視点と言われるゆえんである。
語り手は主人公や他の登場人物も含めて、極限に書き尽くすことが可能であることも利点と言える。
欠点としては、全ての登場人物の内面まで書こうとすると客観性を失う可能性もあるし、視点が変わることによって、読者が誰のことを書いているのかがわかりにくくなると言うことがある。また全員のことを書くと、読者が、一人の登場人物に対して感情移入をしづらくなり、これらは三人称多元の欠点と言えるだろう。
二人称小説も実際にはあるが、二人称は便宜上あると言っても良いだろう。なぜならば二人称小説であっても一人称あるいは三人称で書く事も可能であるからだ。
三人称では、前者の一元のように一人の人物に焦点を当てるか、後者の多元のように複数の人物に焦点を当てるかということとは別に、語り手の参加度合いの違いもある。
どういうことかと言うと、語り手でありながら、自分の意見や突っ込みを入れて、意図的に自意識的に物語に参加して解説をする語り手である。
これを介入する語り手と言われている。
基本的に読者は、語り手にゆだねて物語を読み進めていく、その中で語り手の語る内容が真実では無いかも知れないと、自ら提示する仕掛けを作る場合があり、小説の終盤になってから、あるいは読み終えたときに、様々な事実や語られたことのギャップを知ることになる。信頼できない語り手はそうした意外性の効果を与える機能を持っていることができる。
ホテルに入る前から、凄い危機感を感じていた。どうにかしなければと思っていた。
でも眠たくて、頭もくらくらと回るし、どうしようもない。
殆ど寝ていた私だが、さすがに部屋に入ると防衛本能が働いたのか、一瞬、きちんと起きる気力が湧いた。
正木に、申し訳無いと思いながら、とにかく部屋からすぐに出て行って貰いたかったので、私は殆ど怒った状態で、
「もう大丈夫だから、帰ってください」
と強く言って、出て行ってもらったのだった。
その後は、いつ自分が眠りに入ったのか分からないくらいに、落ちていった。
どのくらい寝たか分からないが、起きて時計を見ると、まだ終電前だった。服は着たままで、私の靴とカバンが壁に沿うように置かれていた。
ホテルに入る前から、凄い危機感を感じていた。どうにかしなければと思っていた。
でも眠たくて、頭もくらくらと回るし、どうしようもない。
殆ど寝ていた美香だが、さすがに部屋に入ると防衛本能が働いたのか、一瞬、きちんと起きる気力が湧いた。
正木に、申し訳無いと思いながら、とにかく部屋からすぐに出て行って貰いたかったので、美香は殆ど怒った状態で、
「もう大丈夫だから、帰ってください」
と強く言って、出て行ってもらったのだった。
その後は、いつ自分が眠りに入ったのか分からないくらいに、落ちていった。
どのくらい寝たか分からないが、起きて時計を見ると、まだ終電前だった。服は着たままで、美香の靴とカバンが壁に沿うように置かれていた。
美香はホテルに入る前から、凄い危機感を感じていた。どうにかしなければと思っていた。
でも眠たくて、頭もくらくらと回るし、どうしようもない。
殆ど寝ていた美香だが、さすがに部屋に入ると防衛本能が働いたのか、一瞬、きちんと起きる気力が湧いた。
正木に、申し訳無いと思いながら、とにかく部屋からすぐに出て行って貰いたかったので、私は殆ど怒った状態で、
「もう大丈夫だから、帰ってください」
と強く言って、出て行ってもらったのだった。
正木もいつもの様に駄目だったかと残念な気持ちになりながらも、取り繕って笑顔を浮かべた。
その後美香は、いつ自分が眠りに入ったのか分からないくらいに、落ちていった。
どのくらい寝たか分からないが、起きて時計を見ると、まだ終電前だった。服は着たままで、美香の靴とカバンが壁に沿うように置かれていた。
正木に、申し訳無いと思いながら、とにかく部屋からすぐに出て行って貰いたかったので、私は殆ど怒った状態で、
「もう大丈夫だから、帰ってください」
と強く言って、出て行ってもらったのだった。
正木もいつもの様に駄目だったかと残念な気持ちになりながらも、取り繕って笑顔を浮かべた。
簡単に引き下がってしまう正木はちょっと情けない。
正木に、申し訳無いと思いながら、とにかく部屋からすぐに出て行って貰いたかったので、私は殆ど怒った状態で、
「もう大丈夫だから、帰ってください」
と強く言って、出て行ってもらったのだった。
正木もいつもの様に駄目だったかと残念な気持ちになりながらも、取り繕って笑顔を浮かべた。
しかし美香自身が一番、正木に対する自分の本当の気持ちを分かっていないかも知れない。
小説を書くにあたり、それぞれ特徴があり、仮に自分の作品を作るとしたら、人称や視点が相応しいのかと考えるのも醍醐味かも知れない。
以上、3084字
大辻都 2015『芸術大学でまなぶ文芸創作入門』星雲社
あとがき☆☆☆
レポートをブログにしてしまったけれど、大学の課題と公募に打ち込まないとならないので、二次利用しちゃいました。
ちなみにこのレポートの評価はBでした。減点ポイントは、二人称の語り手を、便宜上あると書いたことが、先生からは二人称は二人称の効果があるという、長々とコメントをいただいた。
レポート返却時の先生方のコメントの字数が多くて、ビックリする。
実はブログはレポートにも、大いに役立っていて、このときも実際にブログに書いた文章を流用して、事例を書きました。ですが、評価では、面白い試みだったけれど、授業の中で使った、具体的な小説を挙げつつその語り手の特徴を記述するべきだったと書かれていた。
厳しいな。笑
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